夏季オリンピック

2012.03.01
丹波春秋

 2020年の夏季オリンピック開催地の立候補を、ローマが財政難を理由に取りやめた。残るは東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)、ドーハ(カタール)、バクー(アゼルバイジャン)の5都市。▼この中で東京はかなり有力だ。スペインはやはり台所が火の車。他の3都市は資金はありそうでも、独裁国家や民族問題など、それぞれ不安定要因を抱えている。▼リオデジャネイロ(ブラジル)に決まった16年開催地での東京の敗因の一つに、国内世論が冷たかったことが挙げられるが、今回は大震災以降の閉塞感を打破し、「日本の復興、再生ぶりを世界に示そう」という意義づけなら賛同は比較的集まりそうだ。▼とは言え、やはり弱点は少なくない。東京自体はまだしも、日本の財政はがたがた。「それどころではない」との意見も根強い。加えて、いつ来るかもしれない地震。福島の原発はそれまでにきちんと収束しているだろうか。▼要はIOC(国際五輪委員会)がどう見るか。国際世論として「地震や放射能が怖いので行きたくない」という感覚と、「健気に頑張っている。応援してやろう」という思いと、どちらに傾くか。これはひとえに五輪だけに関わる問題ではない。政治のごたつきを一刻も早く解消し、スピードある対策、改革を今こそ切望する。(E)

 

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