福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは、毎日東京から何台もの無料送迎バスで客を迎える。午後2時にバスが到着し、泊まっていた客が3時に出発。昨年3月11日、ちょうどその時間帯に大震災が発生。館内には日帰りを含め2500人の客と従業員300人がいた。▼警報装置が一斉に鳴り、水着やアロハ姿も目立つ客を前庭の駐車場に誘導したが、雪がちらつく寒さで、最終的に避難場所に選んだのは、倒壊の心配のない平屋のホール。▼自力で帰れる人を除き600人を東京に送り出すことになったが、都心も帰宅難民であふれ、途中の交通情報はほとんどない。翌日、社員に車で数ルート試走させ、12時間かけてたどり着けることを確認。翌々日、バス18台を仕立て、食料を積み込み営業車が伴走。病人も出さず無事に完了した。▼施設はその後、原発地域からの避難所として9月までのべ3万人を受け入れる。この間、フラガールたちが全国キャラバンに出かけ、10月からの部分オープンに備えた。▼そして本格再開後の今年3月11日の1周年イベントには、前年同日にいた客たちが大勢来館し、未払いだった料金を払う人も。「この日は家族全員で毎年来ることに決めました」という東京の女性からの礼状を手に、下山田支配人は、目頭を押さえた。(E)





















