創作オペラなど「おさん茂兵衛」関連のイベントを展開する「おさん茂兵衛DEたんば実行委員会」の会員らと、浄瑠璃作者近松門左衛門のふる里、福井県鯖江市へ。▼近松は吉江藩という同市内にあった小さな藩の藩士の次男、杉森信盛。父が浪人し、上方に出てきたと言われる。資料が少なく、生誕地については他説もあるが、近年は鯖江に固まってきたようだ。▼町じゅうに近松の銅像や資料を展示する所があり、近松倶楽部という市民団体が発足、浄瑠璃劇団「近松座」も旗揚げして毎秋、彼の作品を演じる。今年は生誕360年ということで、「恋にまつわる短編小説」を募集中だ。▼倶楽部の人に案内され、まず「まなべの館」を見学。鯖江藩主の間部家と「学べ」をかけて命名されたとか。間部7代目の詮勝(あきかつ)が「安政の大獄」の時の老中として有名だが、後に井伊直弼と対立し辞職、4万石に1万石減封された。▼車で5分程行った吉江。吉江藩はやがて福井藩に合併され、藩邸跡も大正期に洪水対策で通した新しい川の水底に沈んだが、元豪商の屋敷が建ち並ぶ「七曲り」の古い街並みは今も残っている。次郎吉(近松の幼名)もこの辺りを跳ね回っていたかも。▼近松座では「おさん茂兵衛」は未上演だが、「丹波の森公苑で是非上演してもらいたい」と話しながら帰路に。(E)