丹波農業グランプリ大賞が決まった。審査員を務めて痛感したのは、新しい血がどんどん入ってきているということだった。大賞のカンナンファームの河南社長は大阪での会社員勤めをやめて、父の養鶏業を継いだ。本日号特集面に記載の通り、外の世界を体験した人ならではの発想がすばらしい。▼特別賞の徳寿園の発表をしたのは、保険会社をやめてIターンした25歳の青年だった。2代目社長に弟子入りしての就業。在来種という珍しい茶種の栽培や、茶道に欠かせない炭を焼く仕事に、都会では味わえなかった魅力とやりがいを感じている様子がひしひしと伝わってきた。▼新人賞のしのたろう農園も、全くの新規参入。乾燥野菜を試験管状の瓶に詰め込んでカラフルに並べたセットは見るだけで楽しく、付加価値も高そうだ。これこそ既存の農業人からはとても出にくいアイデアと思った。▼実行副委員長の小橋さんが「自分たちは親から『農業なんかつまらん。後は継ぐな』と言われて育った。でも自分の子供たちには『農業は面白いよ。一緒にやろう』と話しかけよう」と挨拶した。人口が減り元気がなくなってきたと心配される丹波で、このような新しい力が湧きあがり、外からも入ってくるのは心強い。行政も、ここにもっと目をつけ、後押しする施策を進めてほしい。(E)