子どもの力

2013.04.06
丹波春秋

 関東大震災後、憲兵隊に連行、殺害されたアナキスト(無政府主義者)の大杉栄。当時の社会秩序を揺るがす思想の持ち主だったが、無類の子ども好きという側面を持っていた。道端で子どもが遊んでいると、うれしそうにちょっかいを出した。汽車に乗っていても、近くに子どもがいると相手をした。▼大杉が子ども好きだったのは、彼の思想とも結びつく。自我とは力であり、圧力をかけてくるものに反抗する力を持っているなどと説いた大杉。子どもはまさに、そんな力の象徴だった。子どもが好きだったのは、子どもの生の力、生の躍動を愛したからに他ならない。▼4日付本紙の「時の人」で、篠山チルドレンズミュージアム館長の垣内敬造さんが「(この施設は)子どもと触れ合うことで幸せを感じる大人の場所でもある」と語っていた。的を射た言葉だと思う。▼「シクラメンのかほり」という歌に「疲れを知らない子供」という一節があるように、エネルギーの塊である子ども。疲れを知る年齢になると、子どもの持っている生の力に刺激を受け、清新な気分にさせられるときがある。チルドレンズで、子どもはますます元気になり、子どもと触れ合った大人は元気を取り戻す。そんな施設であってほしい。▼再開館するチルドレンズ。地域にも元気を与える施設であり続けてほしい。(Y)

 

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