自ら仕事つくり「灯台に」
地元の篠山市にUターンし、1対1を基本にした学習塾「ホウカゴノガッコウ」(同市川北)を開設して起業。学校と家庭の間に立ち、「勉強だけでなく、『あそこに行けば、悩みが少しでも前進する』と言ってもらえる場所にしたい」と話す。同時に、篠山で自ら仕事をつくり出すことで、「出身者には帰るときに、移住者には移住する際の“灯台”になりたい」と考える。
篠山鳳鳴高校を卒業後、帯広畜産大学、神戸大学大学院を経て帰郷。農業の衰退や、過疎化する地方の状況を見て、「逆に商機があるのでは」と考え、昨年、仲間とともに新規就農した。
しかし、実際に1年間取り組んでみると、農業のさまざまな難しさに直面。そんな中、将来を見越した考えに差異が生まれたことや、体調を崩したこともあって、農業の資産や資材を仲間に譲り、一線を退いた。
それでも、「生まれ育った地元に貢献したい」という思いは消えず、農業とともに“複業”として取り組んでいた学習塾に注力することに。「野菜」から「人」を育てる、あるいは見守る事業にシフトした。
「わからなかったことがわかった時の子どもたちの顔が大好き。ものの見方や考え方など、子どもたちから教わることも多いですね」
ただ、農業はいまだ背骨に残る。「川北は丹波黒大豆の発祥の地。地域の人がプライドを持って守っておられる農地がある。自分なりのやり方で、地域の人と一緒に農業に取り組めたら」と言い、今も奮闘する農業仲間には、「自分にはない力がある。それぞれがんばって、いつか『ここまで来たなぁ』と語りあえたら」。同市河内台出身。24歳。