世間と通じた草野球
セントラルファイナンス関東統括部長 安井 信也 (やすい しんや) さん (東京都在住)
1955年 (昭和30年) 篠山市野間生まれ。 篠山鳳鳴高校、 大阪市立大学経済学部卒。 78年旧東海銀行入行。 大阪上六支店をスタートに各地支店で営業担当。 本社人事部ではUFJ銀行への合併実務に取り組む。 今年4月に出向して現職。
東海銀行人事部時代に三和銀行との合併でUFJ銀行となり、 5000名のリストラに関わった。 余剰人員を取引先に当てはめていく過程で、 マッチング作業の妙を体験した。 「この仕事にはあの人しかない」 とにらんで双方を説得し、 うまくいったときの感動。 ときには年長者や上の立場の人に 「もっと姿勢を低くして、 相手先に溶け込むように」 と指導した。
「この人はうまくいかないな」 と思った人は予想通り戻ってきた。 「銀行内では不遇だった人でも、 外に出て成功する例を見てきました」。 銀行と世間の 「ものさしの違い」 をまざまざと実感した。
自身は、 26年間もの草野球仲間を通じて、 「外のものさしをわきまえてきたことが幸いした」 という。 「すし屋の板前の発案でチームができ、 葬儀屋、 電気工事屋、 大工など異業種の人たちが集まっていました」。 試合に欠員があると、 近辺を探して引き込む。 ある日、 ジョギングしていた男性に 「ユニフォームが似合いますよ」 と誘い込んだ。 試合後飲みながら、 「仕事は」 と尋ねると 「キシ」 という答え。 「名前じゃなくて…」、 「プロキシです」。 有名な棋士だったそうだ。 「出会いが面白くて止められない」。
現在出向先の信販会社では営業の陣頭指揮にあたる。 「相手が中小の加盟店や消費者ですから、 直接人間同士のつきあいで、 銀行とは違った面白さがあります」 と、 新しい 「ものさし」 にチャレンジ中。
長く経験した営業畑では、 「丹波篠山出身」 をアピールしたら、 取引相手の表情がホッとするのが分かったそうだ。 「名前は忘れられても 『丹波出の白髪頭の人』 と電話があった」。 帰省すると 「おかえり」 と迎えてくれる母親が、 安井さんにとっての故郷だったが、 2年前に亡くした。 故郷とつながりを持ち続けたいと頻繁に郷友と集う。
(上 高子)