柏原藩主織田家の墓が並ぶ丹波市の指定文化財、「織田家廟所」(柏原町東奥)の門をメセナ事業で改修した「北近畿クボタ」 (本社柏原町柏原) の社長。 今月行われた贈呈式には、 後期織田家13代目の織田信孝さん=神奈川県茅ヶ崎市=も出席した。
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「取り引き先の銀行やメーカーの人が柏原に来た時、 八幡神社、 織田家廟所、 歴史民俗資料館は必ず案内するんです。 そのたび、 織田家の廟所の門があまりにもみすぼらしく、 恥ずかしいと思っていました。 新調され、 肩の荷が下りた思いです」
「織田家廟所には、 江戸時代に奈良から移封された織田信休と、 その後の八人の藩主や家族が眠っています。 織田家の墓があることを本で知り、 赴任後に訪ねようとしたのですが、 近くの人に聞いても誰も知りませんでした。 私が見た西日本にある武将の墓の中では、 広島の毛利元就に次いで威厳のある廟所なのに残念です。 もっと多くの人に見てもらい、 丹波柏原をPRしたい」
「織田信長といえば、 経営者にとっては改革の神様みたいなものです。 ゆかりの柏原に本社があるのだからと、 信長の精神にあやかって改革に着手。 社内でやっていた物流を運送会社にアウトソーシングするなど、 さまざまな工夫をした結果、 大幅なコスト削減に成功しました。 門の改修はそういった感謝の気持ちもあります」
「9月に織田家の現当主に話をし、 10月から工事にかかりました。 行政も動いてくれ、 陣屋跡を改修している業者が工事を担当してくれました。 デザインは以前と同じです。 屋根瓦を反らせるのが難しく、 瓦が入るのに一カ月ほどかかりました」
「ただ、 門は新しくなりましたが、 土塀が傷んでいるのが気になっています。 織田家の歴史は地元の大事な宝。 みんなで修理してもらえればうれしいです」
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社長に就任して7年目。「環境」と「高齢化」 をキーワードと捉え、 太陽光発電パネルの販売、 高齢者向けスクーターのレンタル事業も行っている。 不景気風におびえず、 企業収益を文化財に還元するという心意気を、 他の事業所も見習ってほしい。 神戸市出身、 篠山市宇土在住。 63歳。
(J)