若い人の発明に期待
細見特許事務所 弁理士 細見 吉生 (ほそみ よしお) さん (神戸市在住)
1953年 (昭和28年) 丹波市氷上町横田生まれ。 柏原高、 東大工学部機械工学系卒。 川崎重工を経て、 特許事務所に勤務の後独立。
神戸市中央区で弁理士事務所を開業する。 弁理士は、 特許、 実用新案、 意匠など知的財産にかかわる権利に対し、 特許庁への出願手続きを代理する。 全国に約6000人。
大学卒業後に重機械メーカーに就職し、 製鉄機械の設計を担当した。 「緻密な努力を要求され、 大変な責任が伴うことを痛感しました」。 反面、 「もの作りに携わる人々には、 仕事の重要さの割に、 報われる事が少ないと感じました」という。
「新技術の開発を担当した時期に、 特許権や特許出願に数多くふれる機会があり、 技術者とその企業が報われるためには特許が必須項目になってくるだろう」 と確信。 特許の業界に転身し、 弁理士になった。
扱う技術分野は、 食料品、 生活用品から、 製鉄、 半導体製造技術まで幅広い。 「発明者のキラキラと輝く目に会えるのが楽しみ。 自分も前向きになれますね」
最近、 弁理士法が改正され、 定められた研修と試験を受ける事により、 特許権など権利侵害訴訟の代理を弁護士とともに行えるようになり、 仕事の幅が広がった。
「政府は、 知的財産立国の実現を目指しているが、 2001年以降、 日本の特許出願の数が減少しているのが気がかり」。 その一方で、 中国、 台湾、 韓国からの日本への特許出願の数は、 毎年数10%の割合で増加。 「日本の技術と経済が外国から支配されてしまうのでは」 と懸念する。
また、 「研究や開発の専門家でなくても、 発明して権利化すれば、 現状を打破する大きな武器になると思うが、 目を輝かせて発明を語る人の多くは中高年」 と言う。 「兵庫県立大学で知的財産権について教える機会を得られたため、若い人の奮起を促すことができたら、 と考えています」。
「高校時代はカメラを持ち、 氷上郡 (丹波市) 内を回った。 心を穏やかにする風景を思い出します」
(臼井 学)