岐阜市民病院副院長 鷹尾 明 (たかお あきら) さん

2005.07.10
たんばのひと

画期的な小児対策
岐阜市民病院副院長 鷹尾 明 (たかお あきら) さん (岐阜市在住)
 
1950年(昭和25年)篠山市西町生まれ、 篠山鳳鳴高、 岐阜大医学部卒業、 78年国立小児病院 (現国立生育医療センター) 血液科で研修。 岐阜県立下呂温泉病院を経て87年岐阜市民病院へ。 90年小児科部長、 2004年4月より現職。
 
 子どもの病気ほど急に発症し、 しかも容態が急変するものはない。 夜間ともなれば、 はたして診てもらえるのだろうかと、 親の不安はつのる。
 鷹尾医師はそうした小児医療事情を憂慮し、 勤務する岐阜市民病院内に 「岐阜小児夜間急病センター」 を3年前に開設した。
 行政と公立病院、 一般開業医が連携するこのシステムは、 全国でも画期的なものだ。 盆や正月休みの一時期の救急医指定にとどまらず、 ここでは一年中、 平日、 土日ともに、 夜の7時半から11時まで、 15歳以下の子どもを対象に、 市民病院の勤務医と市内の開業医が輪番制で待機している。 市民だけでなく、 周辺住民からも好評だ。
 鷹尾さんが小児科医を志したきっかけは、 「自分が小児喘息で、 小学校の頃、 しょっちゅう欠席していたこと。 それから高校生の頃、 中学生だった従弟が喘息で亡くなったことです。 早い時期から 『いずれは医者になって、 人のために役立ちたい』 と決めていた」 という。
 小児急病センターのシステムを立ち上げる際には、 各方面からの抵抗も予想されたが、 「開業医の先生たちに、 このままだと岐阜市の小児医療はだめになると懸命に訴えました。 幸いこの地域で開業されている方は、 ほとんどが岐阜大の先輩や後輩で、 とても協力的でした」 と振り返る。
 昨年から始まった 「新医師臨床研修制度」 で病院へ派遣される若い人たちと接触するのが楽しく、 学ぶことも多いとか。 「小児科医にとって必要なのは、 考えることより感じること。 患者の心に寄り添えば自然と医者の知識も技術も身についてくるものです」。 明るく柔和な笑顔から、 自信と誇りが伝わってくる。
 ふるさとについては、 「篠山へはなかなか帰れませんが、 父母がいつも私の身を案じてくれていてありがたいです」。

(清水雅子)

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