兵庫県立大学経済学部教授 植野 和文 (うえの かずふみ) さん

2005.08.11
たんばのひと

地域イメージ作りを
兵庫県立大学経済学部教授 植野 和文 (うえの かずふみ) さん (神戸市在住)
 
1954年(昭和29年)丹波市山南町若林生まれ。 73年柏原高卒、 大阪大工学部卒。 同大学院修了後に兵庫県庁へ。 筑波大大学院で政策科学を学んだあと神戸商科大経済研究所助教授。 2005年から現職。 経済学博士。
 
 生活行動論、 居住環境論が専門。 丹波の森公苑の兵庫県立大学公開講座で、 「地域イメージとは何か」 というテーマで講義した。
 受講生の調査では、 丹波市、 篠山市の住民が神戸の街に対して抱くイメージは、 利便性、 華やかさなどとする割合が高く、 逆に丹波地域には、 温かい、 緑などのイメージを持つ率が高かった。 11年前のたんば田園交響ホール友の会の丹波地域会員、 遊農園かすがの阪神地域会員への調査でも、 阪神は利便性志向が高く、 丹波は、 快適志向が強かった。
 2つの調査から、 「丹波地域住民が自分の住む地域に持つイメージは、 安定しているようだ」 と分析。 「地域イメージが及ぼす影響は大きい。 良いイメージは住む人の誇りや地域の魅力を高める。 そのためには景観、 街並み、 地場産品へのこだわりや旅行業者、 テレビ、 雑誌などの有効活用が大事」。
 大学では、 「生活経済学」 と 「交流社会論」 という講義を担当。 交流には、 人、 物、 情報の移動という3つの能力が必要。 それが高まることによる居住環境への影響を研究。 「神戸で山手といわれる地域が高齢化により、 坂の昇り降りが大変、 買い物が不便などの理由で、 中心部に人口が移動している。 柏原周辺でも郊外住宅が目立つが、 駅周辺に住宅を作れば通院、 買い物などにも便利」 と提案。
「社会的交換」 が目下の研究テーマ。 「助け合いのルールをモデル化したい。 人を助ける余力のある人と助けを求める人がいて、 お金で買えないサービス (助力) を交換し合う。 それは困ったときはお互い様、 というサービスの貸し借り関係で、 地域通貨もその一つ。 そんな関係が成立する条件を調べるのが当面の課題」。
 大学、 大学院を通じ、 河川の水質環境を研究した。 42歳のときに県職員から大学教員に転身。

(臼井 学)

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