丹波市で31年ぶりの開催となった兵庫県畜産共進会の肉牛の部で最高賞の名誉賞に輝いた 「次郎」 号の生産者。 せり市でも10数年ぶりに500万円を超える最高値で取り引きされた。
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「上位5番以内に入るのが目標だったので、 1番と聞いた時は驚きました。 私が育てた2年8カ月の間、 病気もせずに大きく成長してくれたことがありがたかった。 共進会の4日前には、 体重が770キロありましたので、 審査の基準となる750キロ台に落としました。 半年前に県の農林水産技術総合センターの研究員のみなさんが血液検査をして、 ビタミンが欠乏していないかを調べてくれたことも好結果につながったのかもしれません」
「子牛の時に、 粗飼料と稲わらを十分与えました。 この牛は農協の斡旋で、 くじで引き当てました。 実をいうと1番欲しいのは外れたのですが、 2番くじで射止めたものです」
「4年前に淡路での共進会で、 名誉賞を受けましたが、 このときは1番か2番という自信をもって臨みましたので、 予想通りでした。 しかし、 今回は予想外でした。 丹波ひかみ農協の開田組合長にも 『今回は難しいかも知れませんよ』 と話していましたので、 好結果が出て良かった」
「肉牛の素牛になる繁殖和牛の頭数が生産者の高齢化により、 減少していることが気がかり。 頭数が少ないと買う値段も上がります。 若手の後継者が育ち、 頭数が増えることが願い。 今回のせりで高値がついたことで、 地元で和牛飼育に携わる人たちの良い刺激につながればうれしい。 次の目標は、 来年神戸で開かれる近畿東海北陸枝肉共励会。 良牛を出せるよう頑張りたい」
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肥育牛270頭を飼う。 山南町生まれで、 24歳まで大阪で自動車教習所の指導員をしていた。 由美さんと結婚後、 畜産業を営む妻の父、 隆さんについて回った。 「田舎育ちで、 牛を身近には見ていましたが、 飼育についてはまったくの素人でした」 と振り返るが、 「名誉賞獲得で、 他の牛の評価も問われます」 と気を引き締める。 46歳。 柏原町石戸。 (臼井 学)