アフリカの環境支援
国連開発計画ボツワナ事務所勤務 奥田 浩之 (おくだ ひろゆき) さん (ボツワナ在住)
1967年 (昭和42年) 丹波市山南町谷川生まれ。 86年柏原高卒。 東京大学農学部農業生物学科卒。 同大学院・米コロンビア大国際関係論修士課程修了。 2004年から現職。
農林水産省を経て国連開発計画へ。 アフリカ南部のボツワナ共和国の首都ハボローネの国連事務所にプログラムオフィサーとして勤務。 政府の環境政策策定やプログラム立案など支援活動に携わる。
ボツワナは、 ダイヤモンドの産出量が世界第2位で、 経済成長の著しい 「アフリカの優等生」 だが、 「1日2ドル以下で暮らす貧困層が全国民の61%もいて、 富裕層との格差が拡大し、 国連の統計では、 国民の37%、 約68万人がエイズに感染しています」。 環境面では、 土壌劣化 (砂漠化) や降水量が極めて少なく、 水不足が深刻。 家畜の過放牧や、 人々が燃料用に低木まで刈り込むため、 土地が痩せていくという状況。
このほか地球温暖化や生物多様性など6分野で17のプログラムを支援、 管理する。 「たとえば、 深刻な水不足に対し、 節水や雨期の雨水利用など国の各省庁を横断した、 包括的な水利用政策樹立が課題。 それを支援するため、 政府機関や職員の能力開発、 資材購入、 プロジェクトスタッフの採用などでアドバイスしています」 と話すが、 「現地の政府職員はのんびりしており、 ストレスがたまることもあった」 と苦笑。
高校時代から 「開発途上国の環境保全の仕事がしたい」 という気持ちを抱き、 大学の農学部を経て農水省へ。 日本が議長国をつとめた地球温暖化防止京都会議では、 官房総務課環境対策室企画係長として、 連絡調整を担当。
「今のオフィスで日本人は私一人。 ヨーロッパ、 アメリカなどから集まったスタッフと共に仕事をするのは、 とても刺激になる」と語る。
さらに、 「日本人の勤勉性や経済力は誇れる。 一方、 働く意欲が乏しい若者が増加している。 ボツワナでは、 エイズにかかりながらも前向きに生きる人もある。 日本の若者に海外から日本の長所、 短所を見てほしい」 と力説する。
(臼井 学)