兵庫医大は改築費に21億円要望
「12月まで交渉続ける」で合意
兵庫医科大学篠山病院の存続問題で、 同医大と協議を続けている篠山市が、 「救急、 小児、 産科への政策的医療補助金として年八千万円、 病棟建て替えについて五億円を限度に負担」 という条件を最終方針として提示し、 交渉を行っていることが分かった。 しかし、 医大側は、 これを大きく上回る市の負担を求めており、 「十二月まで交渉を続ける」 という話し合いの継続についてのみ合意している。
最終方針では、 当初示した補助金より二千万円増額し、 八千万円とした。 県内公立病院のベッド維持費、 医大該当診療科のベッド数、 稼働率などを基に算出したという。 また、 医大が求めていた 「公設化」 の代替案として、 国の交付金制度活用を前提とした病棟改築への補助金五億円を付け加えた。
市によると、 これに対し医大側は、 救急、 小児、 産科を存続なら年二億八千万円、 救急だけなら年一億八千万円を地元負担として要望。 また病院改築は、 病棟のみでなく外来も建て替えが必要とし、 二十一億円の負担を求めているという。
市が最終方針として意向を伝えた八月末以降、 協議は行き詰まっている状況。 来年九月に国立病院から移譲後十年を迎え、 医大の法的拘束期間が切れること、 圏域会議の結論を十二月に出すとしていることから、 市はリミットを 「十二月」 とし、 交渉の継続を申し入れた。
市は、 県が九月に設置した 「丹波地域医療確保対策圏域会議」 の動きの中で打開策を見出したいと考えており、 「医大、 県と三者の中で話を詰めていきたい」 (瀬戸亀男市長)、 「圏域会議を頼りにしたい」 (稲川敏之助役) としている。
協議がまとまれば、 十二月議会に予算案が提案される予定。 市政策部が二、 三の両日、 議会の各会派に交渉経緯を説明しており、 稲川助役は、 「会派から意見の申し入れがあれば、 できるだけ調整したい」 としている。
これまでの交渉では、 市は六月、 救急、 小児、 産科に年六千万円を補てんする案を提示したが、 医大側が 「納得できない」 としたため、 再検討。 七月末に現在の内容を医大に伝え協議を続けていた。 瀬戸市長は 「何としても残ってほしいという強い気持ちで、 財政的にギリギリの線ではじき出した数字」 としている。
市によれば、 医大側から具体的な金額が示されたのは八月になってからで、 負担額の根拠については明確な回答がないという。 医大は 「提示額の内容については答えられない。 十二月に向けて市にどこまで理解してもらえるか待っている状況だ」 としている。 (徳舛 純)