視覚障害者の外出や移動を手助けする「ガイドヘルプボランティア養成講座」を取材した際、視覚をさえぎって行う歩行体験にちょっとだけ挑戦した。参加者にガイドをしてもらい、屋内を10数メートル歩いただけ。しかし、これが怖い。 足元に物があるんじゃないか、顔が何かにぶつかるんじゃないか-などなど。歩いている間中、心細かった。「ガイドの声かけが不安を解消する」という講師の言葉を実感した。 もう一つ同講座で印象深かったのは、「盲導犬に対する誤解」の話。ガイドの代名詞ともいえる存在だが、犬が道を覚えているのではなく、人が道を指示しているのだそうだ。道を覚えられない人は、必然的に盲導犬を使えないという。また、犬が老化すると役目は果たせなくなる。 そんなわけで、視覚障害者が白杖などで歩けるように訓練する「歩行訓練士」と呼ばれる人たちの役割が大切なのだが、自身も同資格を持つ講師は「盲導犬はみんな知ってますが、訓練士のことは誰も知りません」と苦笑い。この点は、「人と犬とのパートナーシップ」というお茶の間受けする構図にページを割きがちな我々メディアのせいと感じ、反省させられた。(古西広祐)