2月27日、春日町内の養鶏場を訪れると、その場で車と足下を噴霧消毒された。鳥インフルエンザの国内発生を受けて、2週間ほど前から自主的に農場に立ち入る車両と人に対して消毒を行っているのだという。同様の対応をとっている養鶏農家は他にもある、ということだった。食の生産に携わる人の、強い責任感と自覚を感じた。 それだけに、法に基づくものとは知りつつも、「半径30キロ」という境界線でかけられた移動制限にやりきれない思いが募る。賞味期限切れでの廃棄を覚悟しながら卵を保管のため箱につめ、採卵期を終えた鶏にえさを与えなければならない。制限圏内の養鶏関係者は、あまりにも重く冷たい状況のなかにいる。 行政には、一日でも早く関係者への支援策を打ち出してほしい。安全が第一なのは言うまでもない。しかし制限措置の間、関係者は無収入のなか、えさ代や人件費を払わねばならない。再起への希望が持てる施策が必要だ。 一方、消費者には、風評被害を防ぐため病気の正しい知識を持つことが求められる。「70度以上の加熱でウイルスは死ぬ」。この一点は押さえておきたい。(古西広祐)