世界平和

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 沖縄が好きで、たまに出かける。毎回どこかの戦跡を訪れる。先月は、戦跡ではないが、米軍ヘリが墜落した沖縄国際大学へ行った。建物はシートで覆われていたが、すき間から黒くすすけた壁が見え、「戦争」を間近に感じた。 60回目の終戦記念日を迎える今年、たびたび興味深い話を伺う機会に恵まれた。父親の遺品を整理していたら、満州時代の通帳の口座番号のメモが出てきて、税関に問い合わせたところ、50数年ぶりに手元に戻ったという話や、ある住職からは、「戦争で鐘を取られ、以来、いまだに寺に鐘がない」という話を聞いた。戦争の痕跡は見えにくいけれど、今も確かに残っている。 その痕跡は、日本だけでなく、海外でも同様にある。アジア諸国との歴史認識の問題はさておくが、第2次世界大戦では、数千万人もの人がなくなっている。悲しい思いを抱え、乗り越え、生きてきたのは、自分たちの周りにいる人たちだけではない。顔も名前も知らない、おびたただしい人の死、遺族の悲しみの上に、今日の世界はある。十五日には、日本はもとより、世界中の戦没者の死をいたみ、改めて世界平和を心に誓いたいと思う。(足立智和)

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