夏休みがもうすぐ終わる。通過する台風が多かったが、昨年の冷夏に比べ、おおよそ天気のいい日が多かった。子どもたちも外で遊ぶ機会も多く、宿題の作文の題材にも困らなかったのではないか。 私は子どもの頃、作文が苦痛だった。日記は体験したことを羅列するだけで、行数を埋めるのに大変。読書感想文は決まって、夏休みの一週間前にあらすじを読み、まんべんなく文章を抜粋していた。 篠山の小学校の先生を対象にした研修会で、作文を専門とする兵庫教育大学の菅原稔教授の講演があった。菅原教授は「運動会や遠足など行事のときにだけ子どもたちに作文を書かせてはいけない」という。「行事作文」や「出来事作文」はある程度の長文は書けても、達成感は生まれない。それは子どもたちに作文とは、非日常的な出来事しか書いてはいけないという考えにつなげてしまうという。書く意欲を育むには、「さあ書くぞ」と構えるものではなく、日常生活について普段から書き慣れさせることが大切という。 まだ、作文や読書感想文を書いていない苦悩の子を見たら、書く意欲をそがずに書く題材を日常の中で一緒に見つけてあげよう。(坂井謙介)