愛好家

2007.01.31
未―コラム記者ノート

 篠山市の大山地区は、山野草の宝庫として知られている。ただ、初夏になると花はなくなるのかと思っていた。それが先日、「『サイハイラン』という花が咲き始めた」という連絡をもらい、写真を撮りに行った。 このサイハイラン、市内には数年前まで5カ所で自生地があったが、開発や盗掘にあったせいで、取材した一カ所が残るのみになったという。ある人の所有地にもあったが、そこは誰かに根こそぎ取られてしまったという話も聞いた。 山野草の愛好家たちによって自生地が荒らされ、絶滅してしまったり、危機に瀕したりする植物が多いとよく聞く。そのため、新聞でも場所を特定せずに紹介することが多い。「どこにでもある花だが、きれいに咲いているので」と読者から連絡をもらったものの、近くの人から「何でもない花でも、人に知られると荒らされるおそれがある」と聞き、掲載を見送ったこともあった。 花に限らず愛好家というものは、珍しいものを手に入れようと、必死になるのだろう。しかし、花をめでるやさしい心があるのなら、なぜ盗掘のような真似をするのか。そんな人を『愛好』家と呼べるのだろうか。(坂本守啓)

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