サッカー日本代表の、ワールドカップへの出場がかかった八日の対北朝鮮戦。日本中が釘づけになったあの試合を、私もテレビにかじりつきながら日本代表に声援を送った。 試合の中継が始まるのは午後7時22分。今日取材したことを、早く原稿にしなければならない。しかし私は原稿を書くのが遅い。普段ならこの時間は、パソコンを前に七転八倒しているころである。が、どうしても試合が見たい一心で、「原稿は明日書く」と言い訳を自分にし、一目散に自宅へと急いだ。 帰宅し、すぐにテレビの前に陣取った。試合は膠着状態が長く続き、正直焦れ始めたころだった。後半28分、柳沢選手の鮮やかなシュートが決まった瞬間。思わず「ありがとう!柳沢」と叫んでしまった。その後も大黒選手が追加点。文句無しの結果に大満足していた時、ドイツに向けての目標は?と聞かれ「一つひとつきっちりやるだけです」と答えた柳沢選手の一言で、今日やり残した原稿を思い出した。 「そんなことだから原稿が早く書けないんだよ」と柳沢選手に言われているような気がした私は、テレビに向かって頭をさげ、後、原稿を書いたのだった。(西澤健太郎)