毘沙門天王堂考

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 山南町畑内地区で行われた夏祭りを取材したとき、おや、と思ったことがある。 五穀豊穣や家内安全を祈願するため、住民が地区内のお堂に集まって般若心経を唱えるものだが、そのお堂にかかっていた額には「毘沙門天王堂」と書かれていた。 確かに毘沙門天像が祀られていたが、それならなぜ「王」の一文字が付いているのか。他に何が祀られているのか地元の方に聞いてみたところ、「ギオンサン」を祀ってある、と聞いて疑問が解けた。 「ギオンサン」は祇園さん、つまり京都の八坂神社に祀られている「牛頭天王」を指しているとみて間違いないだろう。牛頭天王は疫病をもたらす恐ろしい神とされ、祇園祭りはこの神を鎮めて、疫病で亡くなった人々の魂を慰めようとしたのがはじまりである。つまりこの神を丁寧に祀っていれば疫病からは逃れられると信仰されていた。 あくまで推測だが、何らかの事情で地区内の二つのお堂を一つにするさい、天の下に王の字を付けたのでは、と思う。他にもこんな事例があるのか、またこれは見当違いの説なのか、ぜひご意見をお寄せ下さい。(西澤健太郎)

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