濠とアライグマ

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 篠山城跡南濠のハスが今年は激減しているという取材の際に、近くに住む人から「お濠は国際化している」という話を聞いた。 以前、濠の生き物を調べたところ、亀は北米原産のミドリガメ(正式和名ミシシッピアカミミガメ)ばかり、泳いでいる魚も、これまた北米原産のブルーギルやブラックバスが主体だったそうだ。南米原産のヌートリアも目撃されている。これでアメリカザリガニがいれば、外来生物の『集合住宅』である。 濠のハスも時代をさかのぼれば江戸期にはなく、後の時代に植えられたものらしい。もともとの城周辺の自然環境はどんな風なもので、どこへ行ってしまったのだろう。『外様』に覆われた城跡に立ってもそれはしのべないのだと考えると、時の流れのせいだとはいえ、寂しく感じた。 別の記事で取材した男性からは、里山で暮らすアライグマの写真を見せられた。一見ほのぼのとしたショットだったが、男性は「もう里山に根付いてますから、少々駆除したところで数は減りません」と意味を解説してくれた。丹波の自然は刻々と、本来の姿を失っている。(古西広祐)

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