篠山の妖怪「鼻黒」

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 毎日暑い日が続く。涼を得るために私は怪談を読むことにしているが、その時、ふと思い出したことがあった。それは「篠山七不思議」である。 ちょうど1年前に、卒業論文の資料として読んだ奥田楽々斎の「多紀郷土史考」の中にその記述があった。 「観音橋の夜泣榎」、「土手裏のおちょぼ」、「坪井の榧(かや)の木」、「田代の前」、「一本松の見越の入道」、「番所橋の酒買い小僧」などがそうである。若干記述は乏しいが、それでもこんな話が篠山にあったのか、と面白がって何度も読み返した記憶がある。だが、その中でどうしても気になった話がある。それは「川ン丁の鼻黒」である。 著者は怪物と表記しているが、どんな怪物かははっきりしない、としている。興味を持ち、多くの郷土資料や妖怪事典をあさったが、遂に正体はつかめずじまいだった。そのまま忘れ去っていたのだが、読書の最中に突然頭に浮かんだ。なぜ今になってと思ったが、もしかすると「俺は忘れてないぞ」と呼びかけられたからかもしれない。そこで、彼と決着をつけようと思います。「鼻黒」についてご存知の方は社までご連絡を。(西澤健太郎)

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