将棋について特別な知識は全くない私でも、プロ棋士の谷川浩司さんは知っている。谷川さん以外で、顔と名前が確実に一致する棋士は羽生善治さんくらい。素人でも知っているのは、その人が大舞台で長く活躍している証拠である。そんな一流棋士の谷川さんが先日、篠山城跡大書院で開かれた「お城将棋」の解説として来篠した。 来篠が実現したのは、丹波地域で活動する将棋グループ「丹波と金会」の地道な活動が認められたため。丹波市と篠山市の将棋愛好家でつくる同グループは5年前の発足以来、将棋合宿や定期教室、講演などを通して、子どもたちへの普及に力を注いできた。女流棋士の対局を子どもたちが見学するお城将棋も、今回が3回目だ。 谷川さんへの解説依頼に際しては、それらの実績の積み重ねが大きな力になったという。「篠山でこんなんしとることが、連盟に知れたんです」と同会の関係者。表情には、自分たちの活動が認められた喜びが浮かんでいた。 お城将棋当日、谷川さんを目前にし、子どもたちの目は輝いていた。丹波地域の将棋っ子たちはうらやましいな。そう思った。(古西広祐)