震災とまちづくり

2007.01.31
未―コラム記者ノート

阪神・淡路大震災が起きて9年目を迎える。震災後、震源地の北淡町に住んでいた時、揺れた直後に隣近所の安否を確かめ合い、被害の拡大を防げたと、よく耳にした。日ごろの付き合いが大きな役割を果たしたと言われている。 仮設住宅に移った被災者は、元の居住地と離れたため、近所付き合いが途絶えた。しかし、花や緑を通して、あいさつが交わされたり、立ち話をしたりするなど、高齢者同士のコミュニケーションを生み、孤立化を防ぐ効果もあった。公園、街路樹、庭木などの身近な緑は、震災を機に地震災害を防止したり軽減してくれると改めて評価された。空き地や緑地が延焼を止めたり、樹木が家やブロック塀の倒壊を防ぎ、避難路が確保されたという例も。また、大きな木の下に避難していると安心するなどの心理的効果もあったという。緑だけでなく、震災によって得られた多くの教訓を私たちはこれからのまちづくりに生かしていかなければならない。一方で、被災を経験した方から鎮魂や防災啓発のためのイベントは、辛かったことを思い出すだけで、そっとしておいてほしいということも聞いた。心の復興も忘れてはならない。(坂井謙介)

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