「本物」に触れる

2007.01.31
未―コラム記者ノート

今の子どもたちはうらやましいと思うことがある。総合学習の時間に、地域の職人や異なる文化など「本物」に出会う機会に恵まれているからだ。自分のことを思い出すと、極めた人や自分と違う世界に触れる機会は、主にテレビや教科書、書物ぐらいだった。神戸の酒造会社で酒造りに徹してきた元丹波杜氏を小学生が訪れ、造り酒屋などに新酒ができたことを告げるスギ玉「酒林」作りを学んだ。尖ったスギの葉を次々と切り揃え、刺し込んでいく姿に子どもたちはどんどん引き込まれていった。ある時は、校区のモンゴル出身の人からその文化について小学生が学び、日本とは違う気候、風土、暮らしぶりを身近に感じることができた。民族衣装や楽器にも触れた。また、モンゴルの子どもたちがどんな勉強や遊びをしているか興味を示していた。「本物」に触れるとき、自分の知らない世界を感じ、その技術や文化のみに感動するだけでなく、「本物」にたどり着くまでの過程や努力、積み重ねも感じとってほしい。そして、自分たちもまた、日々努力を積み重ねて「本物」に向かっているのだと気づいてもらいたい。(坂井謙介)

関連記事