愛鳥週間のさなか、柏原町の鳥愛好家、能勢浩三さん宅でオシドリのヒナが生まれたというので見せていただいた。ヒナたちは母鳥の後をチョコチョコとついて歩き、とてもかわいらしかった。この鳥の写真はよく目にするが、実物を見たのは初めてで、いろいろと面白いことを教えてもらった。 まず、一番意外だったのは、オシドリのペアは毎年相手を替えるという事実。「オシドリ夫婦」という慣用句があるくらいだから、よっぽど夫婦仲がいいのだと思っていたのに。しかも、お父さんは子育てを一切手伝わないという。「オシドリ夫婦」という言葉を生み出した人は、きっとこの生態を知らなかったのだと思う。 そして、これも非常に驚いたのだが、美しいオスの羽は秋から春にかけての繁殖期だけで、夏場はメスと同じ地味な羽色になるという。この変化はカモ類のオスに共通の特徴で、「エクリプス」と呼ばれるらしい。 繁殖期のオスは赤褐色がベースのくっきりとした色合い。一方のメスは、茶色がかったグレーのような色で目が行かないほど地味。このようにメスが地味なのは、子育て中に敵に狙われないためだそう。 人間は一般的に女性の方が華やかだから、オシドリとは逆だ。なぜなんだろう。一人あれこれと理由を考えている。(徳舛 純)