夏休みが始まった。大人になれば、夏だからといって1カ月ほどの休みはない。しかし、「なつやすみ」という響きは、なぜか今でも、私の心をウキウキさせる。楽しい思い出ばかりだ。近所の子ども10人ぐらいで、とにかくよく遊んだ。住宅地だったので、狭い路地や家と家との間、アパートなどを使って一日中鬼ごっこをしていた。 今考えると、迷惑な子どもたちだったと思うが、その時はなぜか怒られずに、温かく声をかけてくれる大人がいた。毎朝ラジオ体操に行って、スタンプをもらうのがうれしかった。プールも真っ黒になるまで泳いだ。 担任の先生が、以前教えていた山奥の学校へ私たちを遠足に誘ってくれた。ぶらぶら歩く夏の田舎道を楽しく歩いたことを今でも覚えている。少年野球の監督が、早朝3時に起きて、1時間かけてカブトムシ捕りに連れて行ってくれた。そんな時間に起きていることがなかったので、なんだか特別な夜で胸がワクワクしていたのを思い出す。 楽しい思い出はすべて、遊びのことだ。取材でたくさんの子どもたちの笑顔に出会う。自然とふれあったり、スポーツや芸術など好きなことをしてをいる時は、目の輝きが違うように思う。この夏休み、何かに没頭し、目を輝かせている子どもたちに会えるのが楽しみだ。子どもにとって特別な休みを大人も応援したい。(坂井謙介)