冷えない晩秋

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 夏以降、農作物の出来がよくないという記事をよく目にした。自分が直接書いたものだけで、ナス、米、小豆と3種類。紙面には出ていないが、スイートコーンも例年を下回る出来だと聞いた。 不作の多くが、夏期の長雨や、その後の気温上昇に起因している。これが農作物の生育を遅らせ、病害虫の発生を引き起こした。あまりに急激な天候の移り変わりのせいで、今年は農作物の生産者にとって受難の年になってしまった。 やはり天候の加減か、今年はモミジも今ひとつ。「名所」といわれる場所に行ってみたが、枯れた枝葉がずいぶんと目に付いた。こちらは、秋の終わりに冷え込まなかったせいだという。確かに12月を目の前にしているのに、冬の冷え込みがやって来ない。小学生のころ、通学途中に辛い目にあわされた『冬将軍』は、一体どこに行っってしまったのだろう。 季節の変化が、平坦になりつつある。さすがに「春夏秋冬」の四季は健在だが、初夏や晩秋といった『境目』はかなり危ない。生活様式の大前提である気候風土が崩れると、我々の暮らしはどうなるのか。氷のない11月末に、不安が募る。(古西広祐)

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