「丹波」「丹波ひかみ」「たんば」「ひかみ」「やまなみ」。氷上郡六町合併後の新市の名称候補五点が出そろった。奇をてらわず無難なところに落ち着いた、という印象だが、住民に一生ついて回るまちの名前だけに、当然と言えるだろう。 それぞれの候補についての印象を書くことは差し控えるが、一つ引っかかったことがある。住民が長く親しんできた、郡名「氷上」が残らなかったことだ。 「氷上市」へのこだわりは、特にない。しかし、「氷上郡」という名称が、現在の町名よりも長い歴史を持つ、この地域だけを指す言葉であることは事実である。住民に、最も広く深く浸透している地名と言ってもいいだろう。その名を市名とする案が、合併協議会の本会にも上らず消えてしまったことは、率直に言って、残念だ。公募でも最も票を集めた名称だったことから、個人的には、「住民感情の多数」として他の候補と区別して扱ってもよかったのでは、とも思う。 いずれにせよ、これで合併後の新市は、これまでのイメージを引き継いだ「氷上市」ではなく、新しい名前になる。肯定的に考えれば、六町が大きく新生する絶好のチャンスだ。 「名は体をあらわす」。どこの真似でもなく、時間の急流に流されることのない剛健な名前が、新生後の氷上郡に与えられることを祈りたい。(古西広祐)