「美しい国」の課題

2007.04.05
丹波春秋

 工事現場から銅線、鉄板がごっそり盗まれたり、道路や公園まで、車止めや遊具に使われている金属類をはがして持っていかれるという世相。丹波地域でも被害が相次ぎ、誠に由々しき事態だ。▼北京五輪、上海万博の建設ブームにわく中国で建築材料が高騰しているのが原因という。影響は建材にとどまらず食品にまで及び、寿司ネタに使う魚介類などもどんどん中国に流れていったり、豪州などの買い付けで市場で日中が競合しているそうだ。▼食料で最近のもう一つの異変は穀物。失速寸前の米ブッシュ政権が「エタノール燃料」化計画をぶちあげ、同国内のトウモロコシ価格が一気に値上がりした。ブラジルではサトウキビを使ったエタノールが相当普及しており、ここ数年でアメリカほか中国やインドにも広がっていく気配。▼作物を人畜でなく車に食べさせるなんて、もうひとつ感心できないが、エネルギー問題も今や背に腹は変えられないほど切羽詰ってきているということか。バブル景気の絶頂期、さる著名な経済評論家が「食料など、金さえ出せば世界のどこからでも調達できる」とのたまっていたが、状況はがらりと変わっている。▼国内自給力の向上と、いざという時を洞察しての外交の努力を怠らないことこそ、「美しい国」たるための、喫緊の課題と思われる。     (E)

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