警察官、 消防士、 自衛官など著しく危険性の高い業務に精励した人を対象とする 「第8回危険業務従事者叙勲」 に丹波地域から唯一選ばれ、 瑞宝単光章を受けた。 元兵庫県警部。
「1989年に西脇署保安課長で退職するまで、 38年間、 兵庫県警に勤務しました。 主に保安部門 (現在の生活安全部門) を歩みましたが、 当時の保安部門は、 防犯から少年犯罪、 暴力団関係まで範囲がものすごく広かったんです。 一つが滞ったら仕事が空転するので休日も事件処理にあたるなど、 毎日が戦争のようでした。 市民生活に直結する事案が多く警察の顔という意識もあったので、 大きな責任を感じていました。 受章は多くの皆さんのおかげ。 これほど栄誉なことはありません。 妻にもいろいろと苦労をかけました。 5月にある皇居での御拝謁には、 一緒に出席しようと思っています」
「勤め始めたのは、 事件の悪質化が進み、 少年事件も増えていった時期です。 保安部部門は凶悪事件も扱いました。 2階に上がった覚せい剤犯を説得していたら、 突然飛び降りられたこともありますし、 犯人を捕まえるためにドアを蹴破って中に入ったこともあります。 勤務1年目に、 同期生が深夜の派出所で拳銃を奪われ、 格闘の末に射殺された事件は今でも忘れられません。 職務の厳しさや重さを認識し、 ずっと教訓にしてきました」
「昔は 『都市の事件は10年ほどかけて田舎に来る』 と言われていましたが、 今は情報化の影響か、 都市も田舎も犯罪が同じになっているように感じます。 『田舎だから大丈夫』 という意識はもう通用しません。 むしろ、 時代を先取りして対策を講じていかないといけない時代だと思います。 警察OBとして安心安全への関心は強くもっています。 年寄りではありますが、 これからも出来る範囲のことはやっていきたいと思っています」
退職後は、 西脇市にある馬事公苑管理事務所の生活指導担当などを歴任。 昨年度は県教委が委嘱する丹波市のスクールガードリーダーも務め、 地域の安全安心に情熱を燃やす。 丹波市氷上町石生。 75歳。(古西広祐)