県立柏原病院 (酒井國安院長) の産婦人科が16日付けで、 12月以降の分娩予約の受け付けを一旦停止した。 小児科の機能低下を懸念しての対応。 すでに予約受け付けを済ませている分については、 全て分娩まで対応する。 また、 5月分の分娩も、 予約数が予定数に達したため、 同日付で原則として新たな予約の受け付けを停止した。 (足立智和)
12月以降の分娩予約の一時停止は、 県の4月の人事異動で2人いる小児科医のうち1人が院長に昇任したことで負担が増したもう1人の医師が、 補充がなければ5月末にも退職の意向を示していることを受けたもの。 小児科医が担う新生児へのケアができなくなる恐れがあることから、 小児科医の補充と、 退職に傾いている小児科医の残留などの動向を見極める必要があると判断した。
また、 5月分の分娩停止は、 小児科医2人、 産婦人科医3人という同病院の医療資源で安全な母児医療を提供できる目安にしている月間予定数の 「35件」 に達したことによる措置。
同病院産科の昨年1年間の分娩数は、 252件 (1月21件、 2月19件、 3月20件、 4月18件、 5月20件、 6月26件、 7月24件、 8月28件、 9月22件、 10月20件、 11月18件、 12月16件)。
今年1月に柏原赤十字病院が産科休診の方針を示したことで分娩希望者が同病院に集まり、 今年は3月末までに83件 (1月21件、 2月32件、 3月30件) の分娩を取り扱っている。 2月には3月の予約数が一時39人に達し、 制限寸前となったが、 5、 6人いた3月1日が予定日の妊婦がそろって2月中に分娩を終えたため、 結果的に制限は行われなかった。
同病院は、 柏原赤十字病院の産科休診を受け、 対応可能な分娩数を早期に把握する必要があるとして、 以前は妊娠8カ月目 (28週目程度) に行っていた柏原病院で分娩を希望するかどうかの確認を、 母子手帳が交付される同12週目あたりで一旦聞き、 数を把握するように運用を見直した。
同病院産婦人科医の上田康夫副院長は、 「小児科医の補充を心待ちにしているが、 現在のところ見通しが立っていない。 このまま分娩予約を取り続けて小児科医が今より減った場合、 土壇場で分娩を断らなければいけないケースが出ることが懸念される。 お産ができる施設はどんどん少なくなっており、 どこの施設も早め早めの予約が必要。 今ここで一旦区切りをつける必要があると判断した。 一日も早く小児科医招へいのめどをつけ、 予約受け付けを再開したい」 と理解を求めている。