環境問題と財政問題

2007.11.15
丹波春秋

 歩いて10分ほどのお店に、車に乗って買い物に行く。少し肌寒くなったので、暖房をいれる。いずれも、それぞれの個人に快適をもたらす選択だ。車で行けば、手早く買い物がすませるし、帰りに荷物を持たなくてもいい。肌寒いからと、厚着をして我慢を決め込むよりは、暖房をいれる方が快適だ。▼しかし、みんながみんな、こうした行動をとればどうなるか。こうした行動が積み重なった結果が、現今の環境問題だ。▼人々が自分の利益や都合だけを考えて行動する。そのあげく、社会的に望ましくない状態が生まれ、人々にその弊害がふりかかってくる。この図式は「社会的ジレンマ」と言われ、環境問題が典型例とされるが、ほかにも社会的ジレンマがあてはまる事例がいくらもある。▼地方自治体の財政問題もそうだ。地域の活性化のため、施設が建設され、交通網が整備されるなど、各種施策が展開される。確かにそれらは、住民に、あるいは一部地域に歓迎されるだろうが、積もり積もっていけば財政を揺るがしかねない。その結果、福祉や医療、教育など、住民の暮らしにしわ寄せがくる。▼兵庫県は今、危機的な財政状況にあるという。なぜ、このような事態に陥ったのか。その原因のひとつに社会的ジレンマはなかったか。県当局には冷静に検証してもらいたい。(Y)

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