医療再構築「地域全体で」 千葉の県立病院長講演

2007.12.06
丹波の地域医療特集

  「地域医療の再生を願う市民と医療者のつどい」 (同実行委員会主催、 丹波新聞社など後援) が11月30日、 県立柏原病院で開かれた。 開業医や病院関係者、 市民ら約150人が千葉県立東金病院の平井愛山院長の講演に耳を傾けた。 平井院長は、崩壊した医療を再構築するためには、大学からの派遣に依存せず、地域で医師を育てることと、これまで以上の病診連携が必要と話した。
 平井院長は、 医師が自分の意志で勤務先を選ぶようになった今を、 明治維新、 終戦後の国体のあり方の変容と同じぐらいの激動の波が医療界に押し寄せていると説き、 大学依存だけでは医師の安定供給は難しく、 病院で、 地域で医師を育てることの重要性を力説した。
  「認定医、 専門医の取得を目指す、 若い医師を集められる病院に変われるか、 変われないかが、 病院が生き残れるかどうかを分ける」 と強調し、 研修プログラムの内容、 指導体制の充実をはかるようアドバイス。 「県立柏原病院は、 さまざまなライセンスが取れる教育認定施設。 それなりの仕組みをすれば、 起死回生の可能性はある」 と話した。
 また、 病診連携については、 患者情報を薬局や開業医とインターネット回線で結び、 共有している東金病院と地域医療機関との連携の実践例を紹介。 開業医を病院に集めて勉強会を開いている自身の取り組みを示し、 最新の医療知識、 技術を開業医に移転することで、 「病院完結型医療」 ではなく、 「地域全体という 『面』 で支える医療」 を構築することの必要性を説いた。
 また、 病院の経営改善のためには、 医師数に合わせ病床規模、 組織、 費用の適正化をはかる必要があるとし、 「医師の規模にあった病院に作りかえる。 医師が集まる仕掛けを作る一方で、 ダウンサイジングし、 医師が増えた時点で、 医師以外の職員を増やす」 と、 手法を提示した。
 最後に、 「ヒューマンネットワークが大切。 地域医療の再生のためには、 医療関係者、 病院、 住民、 行政、 議会、 マスコミらが主体的に動くことが必要。 みなさんの熱意を一つにつなげば、 再生はできる」と締めくくった。

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