急転直下の定数問題

2007.12.13
丹波春秋

 上に立つ者がころりと意見を変えることは是か非か。この問いに、明治維新の志士に大きな影響を与えた儒者、佐藤一斎は「是」とした。一斎の『重職心得箇条』に、「沛然(はいぜん)と一時に転化すべき事もあり」などとある。▼意味はこうだ。「胸中に定見を持ち、貫き通すことはもとより大事だが、虚心坦懐に人の意見に耳を傾け、それが正しければ決定を急きょ変えてもいい」。一斎は、意見を変えるのは恥ずべきことではないと教えた。なぜならば、君子は豹変するからだ。▼君子豹変は、変節漢を非難するような場合に使われることがあるが、それは正しくない。善の行為なのだ。だからといって、意見を変える者すべてが君子かというと、そうではない。小人でも意見を変えるからだ。▼君子豹変の出典である中国古典の『易経』には、「君子豹変」に続いて「小人は面(おもて)を革(あらた)む」とある。外面を変えるというような意味だが、本心は変わっていないのに、本心とは異なる意見に変わるという場合は、君子豹変ではなく小人革面があてはまる。▼篠山市議会が、議員定数を現行の22から2減にすることを賛成13、反対6で決めた。8月末に議会の総意で「22」の結論が出ていたのに、急転直下の展開をみせた。それは君子豹変だったか、小人革面だったか。 (Y)

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