「小児科を守る会」が千葉県で活動報告

2008.03.06
丹波の地域医療特集

  「地域医療の崩壊から再生へ~子供を守ろう!お医者さんを守ろう!!私達にできること」 と題したシンポジウムが1日、 千葉県東金市の市中央公民館で開かれた。 シンポジストをつとめた県立柏原病院の小児科を守る会の丹生裕子代表、 同病院小児科医の和久祥三さん、 丹波新聞社の足立智和記者が、 「小児科を守る会のあゆみとその成果」 と題し、 それぞれの立場から報告、 200人を超える市民らが耳を傾けた。
 昨年、 丹波を訪れ同会の取り組みを視察した平井愛山氏が院長をつとめる千葉県立東金病院の主催。 地域医療に詳しい城西大学准教授の伊関友伸さんが座長を務めた。
 伊関さんは、 「なぜ、 医師が医療現場から立ち去っていくのか」 と、 問題提起。 医局制度の崩壊や仕事の増加、 患者のコンビニ医療指向などを原因にあげ、 「医師と患者 (住民) 側に溝がある」 と指摘。 患者は 「医療では絶対に死なないと思っている」 などと、 病院で働く側と利用する側の考えの違いを紹介し、 「両者の溝を埋めることが医療再生の道」 と提起した。
 丹生代表は、 「守る会」 の一連の活動をスクリーンに投影しながら 「医師が大変なことを知り、 医師に恩返しがしたい一心で運動を始めた」 と言い、 「運動を通して、 医師と住民は、 医療を施す者と受けるものという相対するものでなく、 安心して暮せる地域づくりのために互いを思いやり、 協力していくパートナーだということを強く感じるようになった」 と報告。 和久医師は、 入院を必要としない軽症患者の受診が減り、 入院を伴う重症患者の受診割合が2倍近くに増えたことをデータを示して説明した。
 同市で活動するNPO法人地域医療を育てる会の藤本晴枝代表は、 「何でも医療に任せる地域にはお医者さんは来ない。 自分も健康に気をつける地域でなければお医者さんは来ないだろう」 と述べ、 住民の意識改革の重要性を訴えた。
 また、 過労の末の自殺と労災認定された小児科医の故・中原利郎氏の妻、 のり子さんは、 涙ながらに小児科医の勤務環境の改善を訴えた。

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