大改革断行へ正念場
(たにがき くにお)東京都在住
1959年 (昭和34年) 丹波市柏原町生まれ。 柏原高、 東大教養学部卒。 郵政省入省。 大蔵省主計局調査主任、 兵庫県豊岡郵便局長、 総理府参事官補佐 (カンボジアPKO 担当)、 近畿郵政局人事部長などを経て、 昨秋より現職。
昨年10月に民営化した日本郵政グループで、 総務・人事における実務上の責任者。 130年にわたる年功序列による人事登用制度を、 民間会社として大改革を進めるポストにあり、 市場経済に適応できる成果主義への切り替え断行を準備中。
「キャリア制度は、 自分も官僚としてその中で育ってきましたが、 疑問はありました」。 傘下に4社、 24万人の従業員を抱えるが、 持ち株会社としての立場上、 直接現場に踏み込めず、 もどかしい思いもあるようだ。
総務の仕事では、 国会対応も残っている。 「民営化したのに、 まだ国会でいろいろ質問を受ける。 社長などの幹部答弁の準備にもかなり時間がかかります」。
分刻みのスケジュールを縫ってのインタビュー。 相当な早口で 「これまでの数倍の速さで物事を処理していかなければ」。
「ストレスも多いのでは」 と聞くと、 「仕事は、 逃げようとするとますます辛くなる。 いやな仕事ほど体当たりで取り組んでいますよ」 と、 あっけらかん。 「日本の郵政は磐石と思うか」 との問いには、 「強い危機感はあります。 正念場ですね」。
国家試験を受験したら郵政省が最初に内定したが、 環境庁にも興味があった。 「子どもの頃は、 水ぬるむ4月には田んぼの小川にフナ釣りに出かけ、 7月になると朝5時頃から甘い匂いが漂うクヌギ林に分け入って昆虫取り。 丹波の豊かな自然は、 私の少年時代の楽園でした」。 ニューヨーク大学へ客員研究員として留学中に、 「大カブトムシを捕まえにアマゾンに行く」 という子どものころからの夢を実現した。
丹波では病身の母親が長男の帰りを心待ちに。 超多忙の日程をやりくりして、 帰郷は少なくても年4回。 「東京の柏陵同窓会支部や郷友会にも、 何とか参加したい」。 重責にあっても、 愛郷心は人一倍だ。(上 高子)