20日号「同窓会ひろば」に、畑小学校の昭和20年卒業生が63年ぶりに再会し、担任の先生が退席される際、「仰げば尊し」の合唱で涙にむせんだという記事が載っていた。▼「仰げば尊し」は筆者も昭和30年代、小・中・高校の卒業式で歌った。「蛍の光」も在校生が歌ったが、「仰げば」の方が余程心に沁みた。しかしいつからか、「仰げば」は聞かれなくなった。「権威主義的」「軍国時代の名残」などの理由かららしい。▼筆者は、問題とされる「身を立て名を上げ、やよ励めよ」という歌詞に、「どこに行っても一人前になれるように努力しろよ。見守っているからな」という愛情を感じる。「師の恩」は、そういう先生への感謝を表したものではないか。教育の場が荒廃していると言われる一因に、そんな気持がおろそかになったことが挙げられると思う。また「身を立てない」若者が増えたのも、気になる。▼先日、テレビで市川崑監督を追悼する「ビルマの竪琴」が放映された。現地にとどまる決心をした水島上等兵が、日本に帰る同僚、先輩らに収容所の鉄条網の外から、「仰げば尊し」を奏でるシーンがあり、強く感動した。▼最近は、公立校も含めこの曲を復活する動きが出ているそうだ。毎年卒業式に出るが、丹波でもあのメロディーを今一度聞きたい。(E)