「企業戦士と呼ばれたりして」と題した歌集をいただいた。著者は丹波市の歌人で、建設会社に勤める竹村公作さん。1949年の生まれで、「戦争に負けたる国に生まれおち企業戦士と呼ばれたりして」と歌う。▼「後ろから見れば右肩下がれると言われて肩を少し怒らす」。この歌に、中年男性の肩にのしかかる重みを思った。仕事の責任が重たくなるのはもちろん、子どもを養い、親の面倒をみる責任が肩にのしかかる。さらには地域での責任も肩にかかってくる。▼肩の荷が重くなると、自然と肩も落ちるだろう。でも、自分の負担を肩代わりしてくれる者はいない。しっかりしなければと言い聞かせ、肩を怒らしてみるが、肩に力が入れば入るほど、肩が凝ってくる。▼かくありたいと思い描く自分の姿と、現実の自分。そのずれを感じたときに出るため息が、竹村さんの歌にある。「今朝もまた戸口に動かずいる蛙こんな風にも生きてはいける」もそうだ。自ら肩の荷を下ろして楽に生きる生き方があるのはわかってはいるが、そんなふうに生きられない。思わず、ため息が口をついて出て、肩が下がってしまう。▼竹村さんを含む団塊の世代が高齢者になると、社会保障制度は今のまま維持されるか大いに疑問だ。肩が軽くなる日は、はたして来るのか。 (Y)