篠山病院存続 基本協定書に調印

2008.07.17
丹波の地域医療特集

 兵庫医科大学篠山病院の運営と整備に関する基本協定書の調印式が14日、 神戸市の県公館で開かれた。 酒井隆明篠山市長、 新家荘平同医大理事長、 井戸敏三県知事が協定書にサインし、 この日から10年間、 同病院が地域医療の中核的な役割を担っていくことが正式に決定した。 医大は来週にも 「篠山病院再生委員会」 を設置して今後の体制の検討に入る。 新病院は今年度中に申請手続きなどを終え、 来年度に着工、 完成する予定。
 1997年10月に国から同医大に経営移譲され、 昨年、 国有財産規定による10年間の運営指定期間が満了したことに伴い協定を結んだ。 01年に医大が篠山病院の赤字や老朽化を訴えて市に支援を求め、 06年5月から市、 医大、 県とで三者協議を開始。 一時は撤退に傾きかけたこともあったが、 紆余曲折を経て存続が決まった。
 篠山病院の新院長には、 再生委員会委員長となる福田能啓臨床教授が今年度中に就任する予定。 医大は現在、 「地域医療」 を専門とした新講座を篠山病院 (篠山キャンパス) に開設する準備を教授会で進めており、 「篠山病院へ医師派遣を行なうことができる環境づくりが今後の課題」 としている。
 調印式では、 井戸知事が、 「医大の存続が決まり、 大変喜んでいる。 丹波地域においては、 県立柏原、 柏原日赤との適切な協力も不可欠だ」 とあいさつ。 新家理事長は 「存続を決めたからには、 市民、 医療従事者にとって魅力ある病院に発展するよう努力する。 地域の限られた医療資源を効率的に運営するため、 知事のリーダーシップを強くお願いする」 と述べた。
 酒井市長は 「市民の命と健康を守る篠山病院が存続することに、 市民あげて心から感謝する。 市民と医大との間で信頼関係が築けるよう取り組みたい」 と語った。
 協定書は▽篠山病院の位置づけ▽病院の整備・運営▽診療体制▽救急医療体制▽協定期間―などで、 13条から成る。
 篠山病院の位置づけについて、 「地域医療の中核を担う病院として運営・整備する」 と明記。 診療科目は 「内科、 外科、 整形外科、 リハビリテーション科、 産婦人科、 小児科、 放射線科および麻酔科の存続と充実に努める」 とした。 救急医療体制は、 市内他病院と連携しながら体制をつくっていく。 市と医師会、 市内3病院で作る 「市救急医療体制調整委員会」 を再開して体制を整える。
 病院建設と運営補助などの公的資金総額は、 国、 県、 市で10年間に49億2200万円。 市の運営費補助金は年1億8000万円で、 うち9000万円は市内病院で配分する救急負担分。 病院建築には19億4000万円を負担。 ただし、 うち1億6000万円は県が市に補助する。 県は寄付講座開設に年5000万円と、 施設整備に2億6600万円を支援する。
 病院建設の補助金は主に来年度に交付される。

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