防災思想の普及や消防施設の整備などの成績優秀者に贈られる、 今年度の消防庁長官表彰功労章に選ばれた。 受章した団員は全国で78人、 県内では4人。 篠山市では初代の西嶋忠一さん以来、 2人目となる。
「現在の県立農業大学校を卒業後、 農業を営みながら、 19歳のとき入団した。当時は、自動車が少なく、 ポンプを積んだリヤカーを引っ張り大変だった。 20人ぐらいの小さい分団が多く、 先輩後輩の良い関係があり、 若者の仲間作りの拠点だった」
「1998年に旧西紀町の団長になり、 合併後は副団長を務め、 2003年の組織改革に関わった。 旧町のばらつきを整理し、 スムーズな組織改革ができたと思う。 降格する団員もいたが、 組織をシンプルにすることで、 指令が行き渡りやすくなった」
「1983年の水害を特に記憶している。 自宅の床下浸水もかまわず、 水防に出て行き、 危うく川に流されるところだった。 95年の阪神淡路大震災では、 自主防災の必要性を感じ、 住民との連携を考えてきた。 また、 消防団の広域化に伴い、 効率性を重視した。 2004年の台風23号では、 土嚢 (のう) 作りを、 被害を受けた各地区で行うのではなく、 集中して行い、 各地区から取りに来てもらう方法でより多くの土嚢が行き渡ったと思っている」
「団員のサラリーマン化が、 昼間の防火活動の課題。 団員のOBにお願いして、 非常時のみ出動してもらえる体制作りを計画している。 また、 消防団の広域化で現場までの到着時間が長くなる。 現場の分団長の役割をもっと強化したほうがいい」
33歳で旧西紀町議に当選した行動派。 有機農業を実践する専業農家でもあり、 田んぼには、 いつでも出動できるよう、 軽トラックに消防服と非常装備を備える。 今月末で引退するが、 「安心して引き継げる」 とほほ笑む。 63歳。 篠山市打坂。
(坂井謙介)