異文化を束ねる経営
(やまな しょうえい)東京都在住
1954年 (昭和29年) 丹波市市島町生まれ。 柏原高、 早稲田大商学部卒。 旧ミノルタに入社。 香港、 イギリス、 アメリカの海外駐在と大阪・東京本社を往来。 2005年より現職。
日本の技術力の粋といわれたカメラ業界で、 トップグループのコニカとミノルタが企業統合を果たしたのは2003年。 そのわずか2年後に、 創業以来の商品であるカメラとフィルム事業から撤退を決断した。 山名さんは経営戦略担当としてこの苦渋の決断に深く関わり、 その後3年間は業務革新担当として企業グループの将来のあるべき姿を追い求めてきた。 今や、 環境、 エネルギー、 医療の分野で数々の新製品を生み出しつつある。
「コニカ135年、 ミノルタ80年の伝統的文化を背負った企業同士が一緒になったのですから、 経営にはそれなりの難しさがありました。 しかし、 異なるものがぶつかり合い新しいものを生み出すという 『相乗作用』 の方が、 より大きな結実をもたらしたと思います」。
そういう異文化交流の視点は、 通算10年にわたる海外営業生活の体験から得たものと言う。 「アラバマ州で2年半、 企業買収の仕事に携わっていたころ、 当初は米国ビジネスのすばらしさや日本にないものに感動したりしました。 そのうち、 それぞれの文化には歴史や背景、 事情があること、 また次第に日本の企業の良さにも気付くことになりました」。 短期的利益を求める米国と、 中長期に 「人の絆と技術」 を大切にする日本の違いである。
全世界にまたがるグループの従業員は3万人余り。 75%は海外ビジネスに依拠している。 それゆえ、 それぞれの民族文化の多様性を尊重し、 一方的に本社の考えを押し付けるのではなく、 辛抱強くコミュニケーションして折り合い点を見つけていく、 そういうマネジメントを心がけている。
「長男ですが跡取りを弟に任せたので、 寺詣りではいつも詫びてますよ」。 重責にしっかり耐える強さを感じ取った。 (上 高子)