夕暮れ空にアトリ大群 丹波地域各地で目撃

2012.02.12
ニュース

 夕暮れ空にたなびく黒い帯状の鳥影―。 冬鳥の 「アトリ」 が、 何千、 何万の大きな群れを形成し、 波打つように飛ぶ様子が篠山市内の各地で目撃されている。 市民の中には、 「大地震の前兆では」 「何か大きな自然災害が起こる前触れなのでは」 などと不安に感じる人もいるよう。 日本鳥学会会員の片岡宣彦さん (52) =篠山市味間南=は、 「日本海側の大雪の影響で内陸部に集まって来ているのか、 あるいは夏の繁殖の成功によって数が爆発的に増えたのか、 確かな理由は分からないが、 いずれにせよ、 これほどの数は今までに見たことがない」 と話している。

 篠山市西部の山にアトリのねぐらがあるようで、 ねぐら近くに住む男性によると、 「朝、 ねぐらから飛び出す時間は午前6時半から7時ごろ」 という。 記者の観察によると、 アトリが再び群れとなって上空を飛び始め、 ねぐらを目指すのは午後4時45分ごろからで、 最も多く見られるのは午後5時半から15分間ほど。

 ねぐらそばで暮らしている女性 (78) は、 「長年、 ここで暮らしているが、 こんな光景を見たのは初めて。 村でもこの鳥の話題で持ち切りだ」 と話す。

 丹波野鳥の会会長の梅津節雄さん (58) =丹波市氷上町小野=は、 「丹波市でも篠山と同様、 たくさんのアトリが渡来している。 8年ほど前にも同じような当たり年があった」 と言い、 「ねぐらで待ち構えてカウントしたが、 その数はざっと20万羽。 これは近年、 まれに見る多さ」 と驚いている。

 片岡さんによると、 3月あたりから繁殖地の北方へ渡り始めるため、 見かける機会が徐々に減る。

【アトリ】スズメ目アトリ科。 全長約16センチ。 ユーラシア大陸北部の亜寒帯で繁殖し、 日本には冬鳥として秋にシベリア方面から渡来する。 丹波地域で見られる冬季 (冬羽) の雄は、 頭部が灰色で背面は黒褐色、 翼は黒色に白い線がある。 胸部は橙色で目立つ。 雌は全体に色が淡い。 森や農耕地に生息。 夜は集団で休む。 雑食性で果実や種子、 昆虫類などを食べる。 アトリが大群をなして移動することは、 古くから知られており、 名前の由来も 「集鳥 (あつとり)」 が略されたという説がある。

 

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