行革で結論 撤回ない 県外試験や奨学金で確保
県が来年度からの学生募集を停止し、 3年後に閉校を決めた県立柏原看護専門学校 (柏原看専) について、 岡本周治県病院事業副管理者は丹波新聞社のインタビューに応じた。 廃校は、 県の第3次行政改革に基づく決定で、 撤回することはないとの考えを改めて示した。 昨年度、 厚労省近畿厚生局に看専の廃止を届け出たことも明らかにした。 閉校後の看護師の確保策や、 存続を望む地元の声にどう答えるのかなどを聞いた。
―改めて廃校決定の理由を
元々、 県立淡路、 県立柏原の看護師確保のために両看護学校を作ったが、 卒業生で県立病院で就職する人が少なく、 病院事業の付帯事業として継続はできないという判断になった。 病院事業の会計は、 各病院が診療を行なって得た売上と、 不採算医療の部分への県一般会計からの繰入金でまかなっている。 2病院で年間3億円ほどかかっている看護学校の運営費は、 100%県民の税金でまかなわれている。 県本体の行革の中で、 「病院事業として専門学校を運営する意味がどの程度あるのか」 と、 必要性を厳しく問われて出た結論が、 廃校だった。 病院局が 「やりたい」 では、 できない。 地元の強い異論は想定されたが、 出した結論だ。 また、 志望者の看護大学志向もあり、 看護大学が増えてもいる。 全県では、 看護師の需要を満たすことができるという推計もある。
―地元は、 看専が必要で、 閉校で看護師不足がいっそう深刻になるのではと不安に感じている
県は、 県が直営でやる必要性はないと判断した。 若者が減り、 地域活力が失われるという声も聞くが、 地域活力のために学校を運営しているのではなく、 そこは理解してもらいたい。 病院の機能回復をはかり、 働く職員の数を増やすことが活力につながる。 そのために精一杯努力する。
―例えば、 地元の市と県とで一部事務組合を作り運営するといった可能性はないか
県としては、 県が直接経営に関与する必要性を認めないという判断だ。 可能性はほぼないだろう。
―では、 仮に地元で運営するという話が浮上した場合、 県は支援する考えがあるのか
土地、 施設、 教員をどうするのかが問題になると想像するが、 地元からの話が何もない段階で、 言えることはない。
―県立柏原は、 130床分の看護師しかはりついておらず、 医師が増えても、 看護師が足りず、 ベッドが再開できていない。 県立病院全体でも看護師は不足している。 確保策は
これまで神戸でのみ開いていた採用試験を、 岡山、 徳島、 福岡でも開く。 九州から大阪に流れる看護師が多く、 これを兵庫に来てもらえないかと考えており、 その人たちに県立病院群をローテートする中で柏原勤務も考えてもらえればと思っている。 また、 これまで採用1年目は、 臨時的任用だったが、 来春からは即正規職員として採用する。 身分保障が安定することで、 イメージが良くなると期待している。 淡路と柏原での勤務を想定した奨学制度 (月額5万円) も、 50人の枠を100人に拡充する。 西日本の看護師養成学校を院長、 看護部長らに歩いてもらって勧誘にも力を注いでいる。
―これらの策は、 市民病院や、 民間病院では以前から行われていたことで、 目新しいものではない。 実効性に疑問が残る
全体数を確保することと、 柏原のようないなかの地域偏在、 また、 多忙な尼崎の看護師確保の問題などを総合的に勘案して施策を講じている。 数年実施して、 効果を見たい。