県の看護師修学資金貸与 要項から「柏原」消える

2012.07.15
丹波の地域医療特集

 県病院局が、 県立柏原看護専門学校閉校後の県立柏原病院の看護師確保策の一つにあげている看護学生への修学資金 (奨学金) 貸与で、 昨年度当初の募集要項にあった目的 「看護師不足が見込まれる県立病院 (県立淡路病院、 県立柏原病院等) の看護師確保」 の文言を昨年度の追加募集時から削除し、 「特に地域偏在等により看護師不足が見込まれる県立病院の看護師確保をはかるため」 と、 表現を後退させていたことが分かった。 同局は、 「他にも看護師が必要な病院があり、 間口を広げた。 淡路や柏原に重点的に配置することに変わりはない」 と説明している。

 自治体病院の奨学金制度は広く行われており、 取り組みが遅れていた県は昨年度になって、 県立淡路と県立柏原の看護師確保を主目的に創設。 昨年度当初に50人を募集した時点では、 「淡路、 柏原 『等』」 と、 2病院を強く打ち出していたが、 昨年度の追加募集時の要項で2病院名を消した。

 同病院局管理課によると、 県立病院群では、 県立尼崎と県立塚口 (共に尼崎市) の統合新病院の建設や、 現在工事が進んでいる県立光風 (神戸市、 精神科) の思春期病棟の新設など、 看護師の増員が必要となることから、 2病院だけの印象を強く持たれる表現をやめ、 貸与希望者が申し込みやすくするよう 「間口」 を広げたという。

 同局は、 今年度から総数50人だった貸与者を100人に増員する。 「2病院は念頭に置いており、 一定の数を確保した中で配置に配慮する。 無理に行かせようとすると、 退職ということにもなりかねないので、 本人面談などで意見を聞き、 理解を得て進めたい」 と話している。

 修学資金貸与は、 月5万円、 年間60万円。 貸与を受けたのと同じ期間、 指定の県立病院で勤務することで返済が免除される。

 県病院局は、 直接運営する11病院の看護師について、 昨年度年3回採用試験を実施。 360人の募集に対し、 正規職員で採用できたのは314人。 「足らず」 は、 パートその他で補っている。 今年度は420人の採用計画を持っている。

 就職希望先で人気のある県立こども、 がんセンター、 県立尼崎らは離職率も高く、 県立病院全体でも慢性的に看護師は不足傾向にある。

 

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