県立柏原病院と柏原赤十字病院の昨年度の経営状況がまとまった。 県立柏原が10億3400万円の赤字、 柏原赤十字が9028万円の赤字だった=表1、 グラフ2。 入院患者が県立柏原で減り、 柏原赤十字で増えたことが要因=表1、 グラフ1。 共に外来者数は横ばいだった。 柏原赤十字は10年ぶりに赤字額が1億円以下に抑制できた一方、 県立柏原は3年ぶりに赤字額が10億円を超えた=グラフ2。
前年度より2億4900万円悪化した県立柏原は、 入院患者が約10%減り、 収益が悪化した。 年度途中から常勤医が不在で非常勤医のみで診療を続けた産婦人科の患者が、 入院で43%、 外来で26%減り、 分娩件数も108件減の200件に。 同科で約1億3300万円の減収。 外科の入院収益も6000万円の減。
応援医師の招へい費用、 高額医療機器のメンテナンス料などもかさんだ。
柏原赤十字は、 前年度より約1億1000万円改善。 入院患者が22%増えた。 CTの更新など医療設備の充実や、 医療ソーシャルワーカーの採用による社会的入院患者の退院促進により、 患者1人あたり1日入院単価が3万1626円 (前年比1773円増)、 外来単価8658円 (同1156円増) と上がった。 費用では、 給与費を圧縮した。
1億8528万円の赤字が生じたが、 丹波市の補助金9500万円があり、 最終損益が1億円を切った。 赤字が1億円を切ったのは、 土地の売却益があった01年度 (赤字額2125万円) 以来。
入院患者数、 外来患者数とも、 柏原赤十字は2007年を底に回復を続けている。 県立柏原は、 08年を底に続いていた回復が、 頭打ちになった。
2病院の経営指標を見ると、 高度な医療を提供するほど高くなる入院、 外来単価が県立柏原の方が高い一方、 高いほど良い病床稼働率と低いほど健全経営の人件費率では、 共に柏原赤十字が県立柏原を上回っている。 2病院とも赤字ながら、 経営の健全性は柏原赤十字の方が保たれている。