アライグマよ、安らかに 大乗寺で初の慰霊祭 NPO法人大山捕獲隊

2013.06.27
ニュース丹波篠山市

写真・牛田住職の読経が流れるなか、祭壇に向かい、哀悼の意をささげる大山捕獲隊のメンバーら=篠山市追入の大乗寺で

 アライグマよ、 安らかに―。 特定外来生物の排除活動を展開しているNPO法人 「大山捕獲隊」 (西牧正美理事長、 16人) が、 駆除した数多くのアライグマの魂を鎮めようと6月23日、 篠山市追入の大乗寺 (牛田裕典住職) で初めての慰霊祭を開いた。 同NPOのメンバーのほか、 県の関係者ら合わせて約20人が参列。 祭壇にアライグマが好物の果物や菓子などを供え、 アライグマの魂に哀悼の意をささげた。

 

 同隊は、 同市大山上集落の住民が中心となって2011年に結成。 近年、 生息域を急激に拡大させ、 農作物被害や人家侵入による家屋の破壊、 在来生物の駆逐など、 生態系にも悪影響を及ぼしているアライグマを箱わなで捕獲している。

 県の 「地域づくり活動支援モデル事業」 の助成を受け、 行政や学識者らと連携し、 これまでに57頭のアライグマを駆除。 昨年7月にはNPO認証を受けた。

 西牧理事長は 「ペットとして飼われ、 飼い主が飼いきれなくなって野に放った結果、 このようなさまざまな問題が発生している。 これはまさしく人災」 といい、 「アライグマの命を奪って以前の生態系に戻す活動をしているが、 アライグマ憎しでやっているわけではない。 たくさん捕まえたから 『よしとする』 のではなく、 『すまない』 という気持ちで慰霊して初めて一連の捕獲活動が完了するように思う」 と話している。

 慰霊祭では、 同寺境内にこしらえた祭壇に 「三界萬霊等」 と書かれた位牌を置き、 牛田住職が読経を唱えた。 参列者らは、 順番に焼香して静かに合掌。 アライグマの霊を慰め、 生態系の回復を祈念した。

 篠山市によると、 昨年度、 市内におけるアライグマの捕獲頭数は152頭。 スイカやトウモロコシを中心に農作物被害額は約210万円だった。

関連記事