農林業への被害軽減のために捕獲したシカを処理、 加工する 「シカ有効活用処理施設」 が丹波市氷上町谷村に完成した。 16日に竣工式が行われ、 出席者約30人が施設を見学した。 同施設では、 年間約1000頭のシカを、 1頭丸ごと処理できるという。
鉄筋平屋建てで延べ床面積は約150平方メートル。 「県猟友会丹波支部」 とシカ肉加工販売会社 「丹波姫もみじ」、シカ肉を使ったドックフード製造販売会社 「EGサイクル」 でつくる 「鹿加工組合丹波」 (深田晋三組合長) が、 国の補助金約2600万円を活用し、 丹波姫もみじの敷地内に建設した。
施設には、 最大20頭のシカを保管できる冷蔵庫や冷凍庫のほか、 内臓を摘出する一次処理室、 精肉や包装をする二次処理室を設置。 受け入れたシカを解体し、 食肉用と非食肉用、 皮に分け、 非食肉用はドッグフードの原材料に加工し、 EGサイクルに納入する。
丹波姫もみじによると、 食肉にできるのは1頭で3分の1ほど。 残りは埋め立てや焼却するなど廃棄処分しており、 環境悪化や焼却費用への対応が課題になっていたという。 同社の柳川瀬正夫社長は 「シカ1頭を丸ごと活用できる施設は全国的にも珍しいと思うし、 その先駆けになれたら」 と話した。
式典では、 狭宮神社の上山和洋宮司による神事が行われた。 深田組合長は 「鹿肉を加工するだけでなく、 販売にも力を入れていきたい」 とあいさつした。