進む統合再編  丹波市内―変わる最末端組織「組」・上

2014.04.24
ニュース丹波市

 高齢夫婦や単身高齢者の増加、 跡取りの不在を背景に、 丹波市内の自治会で近年、 隣保 (組) の再編が進んでいる。 4月から、 春日町中山、 同町野瀬、 青垣町中町、 市島町藤野の4自治会が隣保を再編するなど、 直近の3年で少なくとも8自治会が実施 (丹波新聞社調べ) した。 一度役をすると当分回って来ない所と、 毎年のように何かの役が回って来る、 戸数の多い隣保と小さい隣保の格差、 負担を是正する取り組み。隣接隣保との統合を基本に、一部隣保の分割も行われている。暮らしを維持するために最末端の自治組織 「組」 が見直しを迫られている。

 

 同一自治会内の隣保戸数のバラつきは以前からあったが、 進展する高齢化でもちこたえられなくなり、 問題が顕在化した。

 国勢調査によると、 丹波市の高齢世帯 (夫が65歳以上、 妻が60歳以上) は、 1990年からの20年間で2倍に増えている。 単身高齢者世帯 (65歳以上の1人暮らし) は、 2・25倍と共に倍以上に増えている。

 高齢者夫婦で、 隣保の役を担っていた夫が亡くなったり、 単身高齢者の死去、 施設入所、 家族に引き取られるといった形で隣保戸数が減っていく。

 隣保を構成する戸数が減ると、 組長を始めとする様々な 「ムラの当番」 の巡りが早くなる。 葬儀の手伝いや公民館の清掃、 環境整備日役などで、 個々の負担が重くなる。 実務を担える人たちがだんだん少なくなり、 毎年何かの役を担うようになって担い手の負担が減ることはない。

 大杉自治会は、 集落の中央にある公民館を基準に、 公民館より奥 (大杉ダム寄り) と下に再編した。 多い隣保は10戸、 少ない隣保は4戸だったのを、 11戸と12戸にした。 「毎月の常会での提案が受け入れられた。 小さな集落でそう難しいこともなく、 スムーズに移行できたと思う。 3人いた組長が2人になったくらいで、 あまり変わりがない」 と余田貞男自治会長は言う。

 春日町芝町自治会は、 2012年度に隣保を再編し、 20年来の課題に決着を見た。 大きい隣保は40戸ほど、 小さな隣保は8戸と、 長年にわたり、 格差問題を抱えていた。 小さな隣保の組長から総会で再編を求める意見が出され、 1年をかけて検討。 「1・2組」 「3・4・5組」 「7組」 のほか、 最大の 「6組」 を2つに割り、 5隣保にした。

 統合に携わった吉兼久前自治会長は、 「組長さんと激しい意見を戦わせながら1年かけて議論し、 最終的に納得が得られた。 上から押し付けるようなやり方だと、 失敗するだろう。 下からの盛り上がりがあることが、 再編実現には必要」 と言う。 「山林などの財産があると難しいが、 隣保貯金ぐらいしかなかった。 旧隣保でそれぞれ清算をすれば良く、 条件としてはやりやすかったのでは」 とも。

 統合を難しくさせているのが、 人間関係。 「あの人は好き」 「嫌い」 といった感情がつきまとう。 それ以上に、 長年かけて築き上げてきた 「安定した隣保付き合いの輪」 がある。 この中に新たに入って来られたり、 再編によって別の輪に移ることは敬遠されがち。

 この点に配慮し、 ゆるやかな隣保再編を行ったのが、 中町自治会。 3―13戸とばらつきがあり、 7組を4組にし、 11戸前後にそろえた。 葬儀の手伝い、 公民館掃除、 ごみ収集の立ち会い当番などは新しい隣保で行うが、 新年会や旅行などは旧隣保に任せている。

 芦田博人自治会長は、 「一旦バラバラに隣保を解体して再編することも考えられたが、 アンケートを取るなど検討が重ねられ、 隣接隣保との統合に落ち着いた。 行事は新しい4つの隣保で担当するが、 私たちの知らない昔からの長い付き合いがある。 何十年ものつながり、 付き合いを急に変えてギクシャクするのも良くないので、 これから人間関係を築いていくなかでつながりが強くなっていけば」 と願っている。

 

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